こんな症状はありませんか

うつ病では「うつ」症状のみが現れますが、双極性障害(躁うつ病)は「躁」と「うつ」の症状を繰り返します。「躁」の状態は数日から数週間と短いことが多く、「うつ病」だと診断されている患者さんも珍しくありませんし、双極性障害だとわかるまで10年以上かかったケースもあります。

うつの症状

眠れない…寝付けない・すぐ目が覚めてしまう・熟睡できない・一日中眠い

食欲が無い…食事を抜いてしまうことがよくある・食事を楽しめない・食事量が減った・食べられないものが増えてきた

気分が重い…一日中気分が落ち込んでいる・何をしても楽しめない・イライラする・せき立てられているようで落ち着かない・思考力が落ちてきた

自分には価値がないように思う…悪いことをしたと自分を責めてしまう・死にたくなる

躁の症状

双極性障害について

双極性障害について

双極性障害の約2/3の人が「うつ」から始まることがわかってきており、「うつ」だけを数回繰り返したのちに、ある日突然、「躁」になるというタイプも存在します。また躁状態がほとんど現れないケースも珍しくありません。そのため、うつ病という診断をされてしまうことが珍しくないのですが、治療法がまったく違うため、正しい診断を受けることがとても重要な病気です。
「躁」の症状と「うつ」の症状が同時期に起こることもあり、気分は落ち込んでいるのに、焦る気持ちが生じて、じっとしていられない「混合状態」もあります。双極性障害は、精神障害のなかでも非常に自殺の危険性が高いため注意が必要です。
「躁」はイメージとしてウキウキして楽しそうな感じを持っている方が多いのですが、エネルギーが有り余ってじっとしていられない状態に近い症状です。常識的に考えて支払うことができない高価なものを購入してしまったり、注意がすぐ他に向いてしまうことで周囲に迷惑をかけてしまったりと、社会的・人間関係面での破綻が生じやすいと言えます。

原因と治療法

双極性障害の原因は、さまざまな研究から、遺伝的要素、環境的要素、病前性格などが関係し合って起こるのではないかと考えられていますが、まだ完全には解明されていません。
基本的な治療は、薬物療法と精神療法です。

薬物療法

薬物療法では、気分安定薬を中心に、症状に応じて抗精神病薬、睡眠薬などを組み合わせます。抗うつ薬は病状を不安定にさせることが多いため、抗うつ薬を服用している患者さんについては、抗うつ薬を慎重に減量していくことが必要となります。

精神療法

精神療法では、心理教育、考え方や物の捉え方、行動を変える精神療法である認知行動療法、生活リズムの乱れを修正する治療法の社会リズム療法などを必要に応じて行います。

院長からのメッセージ

双極性障害(躁うつ病)は、治療が長期に及ぶことがありますが、粘り強く治療を続ければ改善できる病気です。うつ病と診断されているケースがとても多いのですが、うつ病と双極性障害はまったく違う病気であり、治療法も異なります。なかなかうつ病が改善しない場合にはぜひご相談ください。また、治療が長期になることと、気分安定薬の血中濃度測定のため定期的な血液検査が必要になることから、自立支援医療制度の利用をおすすめします。